SOTOレギュレーター2バーナーGRIDでバーナーパッドが使えるのか実験してみた
SOTOのレギュレーター2バーナー GRID(グリッド)ST-526のレビューを公開した際、Twitterでフォロー頂いている方から気になる情報を頂きました。
このバーナーはゴトク中心幅が広いのと(約8cm)、炎の焦点範囲が狭いのでバーナーパッドを使いたくなりますよね。
実際にこの方も同じ考えで、SOTOにバーナーパッド使用について問い合わせたところ。
「(テストデータは無いが)構造や使い方から、輻射熱がかなり大きいと予想されるので安全のために使わないでください」と言われたそうです。
バーナーパッドとグリル鉄板やスキレットなど、輻射熱にどれほどの差があるというのか。
正直なところ、それほど違いがあるとは思えません。
言い分は、ごもっとも。ごもっともなんですよ、メーカー対応としては。
安易に「使えますよ」と言って、もし事故が起きて賠償責任が生じたら嫌ですよね。
しかしそこで諦めてしまうと、この商品が半端なモノだと自ら言ってるようなもんじゃないですか。
そんなわけないだろうと。日本が世界に誇るSOTO、新富士バーナー様ですよ。
東京オリンピックの聖火トーチを依頼されるほどの会社です。
そんな素晴らしい会社が満を持して世に送り出したバーナーが、そんな半端な性能であるわけはない。
開発チームは「使えるのにな~」と思っていても、お客様相談室的には「何かあったら嫌だし、使ってほしくない」と言わざるを得ない内情もあるんじゃないかと思います。
検証してみた
現物が手元にあるので、やってみた方が早い。
というわけで、検証してみました。
言うまでもありませんが、皆様自己責任でお願いしますよ。
室温22℃、使用カセットガスは新富士バーナー製のパワーガス・RZ-760。
温度を計測するものはこちら。非接触温度計です。
ガスボンベには横方向からレーザーを当てて、温度を測定します。
輻射熱がボンベに伝わり、ボンベの使用可能上限温度40℃を超えたらその時点で実験中止します。
使用前のガスボンベの温度は18.4℃。触るとひんやりします。
鉄板
まずは厚さ3.2mmのソロキャンプ用鉄板、男爆鉄板から。
参考記事:鉄板戦国時代。男は黙って男爆鉄板!
バーナーパッドは使わず、鉄板を直接炙ります。
火力は最大。
炎が集中的に当たる真ん中は、すぐに温度が上がってきました。
端の方は完全に温まっていません。
ガス缶の温度は変化なし。
3分ぐらいして、中心が400℃を超え、端の方も300℃を超えてきました。
実際にこれだけ強火で調理に使うことは少なく、シーズニングの時ぐらいかと思います。
この時のガス缶は32℃。
ただ、手で触ると32℃あるとは思えないほどひんやりしているんですよね。
5分経過、鉄板温度は521℃に。
この時のガス缶温度は39.1℃、危険域ですので火を止めました。
やはりガス缶は手で触っても、体温以上の熱さがあるとは感じません。ひんやりです。
当たり前ですが、バーナーヘッドから離れるほどガス缶の温度は低くなります。
ツーバーナー天板の、鉄板の下になるところが361℃と高温になっています。
ここのステンレス板でガス缶方向への熱を遮断しているわけですね。
これは裏側からでも手で触れないぐらい熱いので、この天板から放射される温度も拾って高い温度を出している気がします。
ガス缶を外して計測すると、25℃。
ガスを使っていると気化熱で下がるはずの温度が、スタート時より上昇している。
輻射熱の影響はある、ということですね。
キャンプ羽釜
続いてはユニフレームのキャンプ羽釜。
鍋部分はアルミです。これで米を炊いてみます。
これもバーナーパッドなしでゴトクに載ります。
やはり真ん中に炎が集中するのが気になりますが。
強火で火にかけて数分、吹きこぼれ発生寸前の鍋の下の方の温度が265.3℃。
鉄板よりずっと低い温度ですね。
もちろんガス缶の温度も、鉄板使用時ほど上昇せず26℃。
普通の鍋やクッカーを使う分には、まったく問題ないと言えます。
バーナーパッド
いよいよラストはバーナーパッド。ユニフレームのMサイズ。
バーナーパッドは、基本的に弱火で使うものです。
下への輻射熱により、器具に損傷を与える場合があります。弱火でお使いください。
ユニフレーム公式サイトより
最大火力で真っ赤になっている辺りを計測すると、513℃。
炎がバーナーパッドを貫通するほどになります。
計測不能表示になることもあり。
天板の温度は498℃に。
バーナーパッドの輻射熱は、鉄板とほぼ同じと言えます。
ガス缶をバーナーにセットした状態で、隙間から表面温度を計ると37℃。
ギリギリですね。夏なら40℃を超えることが予想されます。
バーナーから外して計測すると、27.7℃。
やはり天板からの放射熱も拾ってしまっているようですが、強火で使うと危険ですね。
実際の使用を想定し、火力を弱火にしてみました。
中心の温度はあまり変わらず、467.5℃という数値。
バーナーパッドの端の方を計測すると、166.1℃。
使用中に隙間からガス缶の温度を計ると、29.9℃。
鉄板を強火で使った時よりは、輻射熱は少ないと言えます。
まとめ
表にまとめてみました。
調理器具名 | 調理器具温度 | ガス缶温度 |
鉄板(強火) | 521℃ | 39.1℃ |
キャンプ羽釜(強火) | 265℃ | 26℃ |
バーナーパッド(強火) | 513℃ | 37.3℃ |
バーナーパッド(弱火) | 467.5℃ | 29.9℃ |
バーナーパッドを強火で使うと輻射熱が大きく危険ですが、鉄板でも危険です。
こういった輻射熱の大きな器具を使う場合、ガス缶が異常な高温になっていないか、確認しながら使うべきですね。
バーナーパッドメーカー(ユニフレーム)の案内通り、弱火で使う分には問題は無いと言えます。
実験後の鉄板ですが、真ん中だけ油が焼ききれて変色しています。
これを見ると火力を分散させたくて強火でもバーナーパッドを使いたくなりますが、我慢ですよ!
必ず弱火で使うようにしましょう。
弱火で使う分には、バーナーパッドもSOTOのツーバーナーも想定通りのいい仕事をしますので。
今回の実験が冬の屋内ですので、真夏の気温30℃以上の時に行うと、よりガス缶の温度は高い結果になると思われます。
実際私も他のバーナーで使う際にまぁまぁ大きな火力で使ってしまっていましたので、今後気をつけます!
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