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テントの中で炭を使うと一酸化炭素中毒で死にます

つい先日のお盆期間、北海道でキャンプしている家族がテント内で暖を取るため炭を使ってしまい救急搬送される事件がございました。

テント内で炭火。もうお分かりですね。

一酸化炭素中毒です。

ご家族は命に別状は無かったとのことが不幸中の幸い。

炭の危険性はキャンパーには常識なので、ほとんどの方がご存じとは思います。

しかし普段あまりキャンプをしない方ですと、分からないのかもしれませんね。

これはもう何回でも、色々なところで繰り返し声を大にして言っていくしかないんだと思います。

「テント内で炭を使うと死ぬ」と。

 

なぜテント内で炭を使うと危ないの?

木炭。

キャンプやバーベキューで、よく使われる燃料です。

薪(まき)よりも高温になり、一度燃え始めると火が消えにくい。

炭を酸素が十分にある状態で燃やすと、二酸化炭素(にさんかたんそ)が発生します。

この二酸化炭素は生物が吐き出しているぐらいですから、毒性は低いです。

 

酸素がまわりに少ない状態で炭を燃やしますと、一酸化炭素(いっさんかたんそ)が発生します。

この一酸化炭素は猛毒で、生き物を死に至らしめます。

無味無臭、においも何もなくいつの間にか中毒になってしまう恐ろしいものです。

炭を使う時に換気が不足してしまうと、酸素が足りずに一酸化炭素がどんどん増えてしまいます。

 

もう少しくわしく説明

炭の作り方は、木材を低酸素状態で燃やすと作れます。

木材の主成分は、炭素と水素と酸素です。

低酸素状態で燃やすことで、水素と酸素が燃えた後に炭素が残ります。これが炭。

炭は温度さえ高ければ、酸素が多少不足しても火が消えにくい燃料になります。

この「酸素が不足しても燃えることができる」特性が危険なのです。

酸素ゼロの真空空間、無酸素状態では炭は燃えません。

 

寒い時に炭であたたまるにはどうしたらいいの?

事故に遭われた北海道のご家族も、あたたまるためにテントの中に炭を入れていました。

テント内は酸素が不足しやすいのです。

多くのテントにはベンチレーターというものがついています。

上の写真のテントの場合、緑色でマルをつけたところ。

換気するための穴が開いており、空気が通るようになっています。

このベンチレーターがあれば炭が使える!というわけではありません。

テントに湿気がこもらないよう、最低限の換気をするのがベンチレーターです。

ベンチレーターが開いているからとテントの中で炭を燃やすと、酸素は不足します。

凍死してしまいそうなほど命の危険があってもダメです。

死因が凍死から一酸化炭素中毒に変わるだけです。

なんとか他の熱源や衣服を探してください。

 

死を覚悟した上で、それでもなお炭で暖を取りたい場合。

テントの入口や窓をいっぱい開けて、手足などを暖めるだけに使います。

「そんなに開けたら寒くてテントの中が冷えちゃうよ!」というぐらい開けましょう。

昔使われていた「火鉢(ひばち)」という暖房があります。

あれは部屋の中で炭を使い暖を取るものですが、必ずしも死ぬわけではありませんでした。

昔の家は隙間風があって換気ができていたのと、手足を暖めるぐらいの少量の炭だったから大丈夫だったのです。

 

絶対に使えないということはないが、おすすめはできない

実は私も、テントの中で炭を使ったことがあります。

暖を取るためじゃなく、肉を焼くためですが。

この時に使ったテントは、テンマクデザインのサーカス440です。

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良いテントなんですが、廃盤が決まってしまっているのが残念。

このサーカス440、てっぺんが開くんです。

 

三角テントのてっぺん。ここはメッシュ無しで開きます。

 

内側から見たところ。

ここを開けただけでは空気が流れない恐れもあるので、窓をメッシュにしました。

さらにテントの出入り口をメッシュではなく、ちゃんと開けてから炭を入れました。

当然寒くなりますが、そのぐらい開けないと酸素が足りなくなってしまいます。

窓をメッシュにするだけじゃ全然ダメです。

思ったより風が通らず、酸素が不足してしまう一因になります。

(もちろん中で炭を使うことが、そもそも間違いなのですが。)

念には念を入れて、一酸化炭素警報器も使っていました。

一酸化炭素の濃度が、数字で分かるタイプのものです。

複数個所を開けて風が通り抜ける状態にすると、一定の数値よりは大きくならない状態にできます。

機械があるからと過信せず、もし頭痛など不調を感じたら即刻換気して中止しましょう。

こんな風に神経を使いながら焼肉しても、あまり楽しくないですよね?

テントの外でやれば、即解決しますよ。

 

炭火焼肉の店とかどうなってんの?

「炭を使う焼肉屋さんは、屋内だけど死なないよ?」という疑問もありますよね。

大きなダクトで換気しているから、屋内でも死なずに営業できるんです。

一酸化炭素は多少出ているけど、排気されていて酸素も供給されているから、人が死ぬほどじゃない状態。

先ほどのサーカス440の時と同じ状態です。

 

ぼくの(わたしの)テントでは使える?

誤解しないでいただきたいのは、サーカス440が推奨ということではありません。

炭どころかテントで火気の使用が基本NGなので。

危険についてしっかり理解し、不測の事態に備え、自己責任取れるとしても、おすすめしません。

危険性は薪や灯油のストーブ、ガスコンロなどよりはるかに上です。

フルメッシュになるスクリーンテントなどの場合、メッシュではなく2か所以上のドアを解放できるならできるかも。

空気が滞留してしまうので、複数個所を開けられないと絶対ダメです。

タープのように、壁がなければ全然大丈夫です。

 

炭の危険性を理解して楽しいキャンプを!

長い時間高温で安定して燃える炭は便利で、美味しい野外料理に欠かせないものです。

しかし何も知らずに換気が悪いところで使うと、とっても危ない燃料。

常識として知っておかないと死にます。

もし知らない人がいれば、ぜひ教えてあげてください。死ぬよ!って。

屋外や換気の良いところで使って、美味しい炭焼き料理を楽しんでください!

 

 

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